女性初の国連難民高等弁務官となり、人道支援に尽力した緒方貞子さんが亡くなったという報道が本日10月29日にありました。
~緒方貞子さんとの思い出~
2008年2月に緒方さんの要請により、JICA地球ひろば(当時広尾)で、「アートマイル壁画展 ~壁画でつなげよう!子ども・世界・平和~」を開催しました。
「シリア・パレスチナ難民キャンプの子どもたちと日本の子どもたちが描いた壁画をJICA地球ひろばで展示してもらえないか」と、2007年11月に緒方貞子さんの秘書から最初の電話があった時には「えっ、緒方貞子さんですか!?」と目が点になり、大変驚きました。
海外のパートナー校とインターネットを使って共通のテーマで話し合い、一枚の壁画を共同制作する「アートマイル国際協働学習」をスタートした2006年に、シリアのパレスチナ難民キャンプの子どもたちと日本の小学校・中学校をネットで繋いでプロジェクトを実施しました。そこで生まれた5点の壁画を当時JICA理事長だった緒方さんが関連施設で展示したいとおっしゃったのです。夢かと思いました。
何でも、2007年10月にUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の事務局長が来日して緒方さんを表敬訪問された際に「UNRWAが支援するパレスチナ難民キャンプの子どもたちと日本の子どもたちがアートマイルというプロジェクトでテレビ会議でface-tofaceで話し合ったり、電子掲示板で意見交換するなどして相互理解を深めている様子を視察して感動した」と緒方さんにお話されたところ、緒方さんが是非アートマイル作品をJICAで展示してもらったらとおっしゃったそうです。
こうして2008年2月に当時広尾にあったJICA地球ひろばで「アートマイル壁画展〜壁画でつなげよう!子ども・世界・平和〜」が開催されました。展示の際には緒方さんにお目にかかるチャンスはありませんでしたが、翌年に直接お話しする機会をいただきました。緒方さんはそのときすでに80歳を超えておられましたが、大変小柄な体から放出されるエネルギーに感動しました。
JICAとのご縁はこうしてアートマイルスタート時点にまで遡ります。今も毎年世界の至るところでJICA海外協力隊の支援で日本と開発途上国の子どもたちの協働学習が行われていることを思う時、緒方貞子さんが始まりだったなと感慨深いものがあります。
緒方貞子さんのご冥福をお祈りします。
(一般財団法人ジャパンアートマイル理事長・塩飽隆子)