2021年度「特別賞」は名古屋市立山王中学校に決定しました。
大臣賞・特別賞の選校に当たっては、2021年10月に東北学院大学学長特別補佐稲垣忠教授を審査員長として選考委員会を発足し、6名の審査員が参加校の協働学習を審査しました。国際協働学習のツールであるアートマイルフォーラム上での相手校との学習状況から優秀な取組を行っている学校を選校しました。
■評価
名古屋市立山王中学校は、ネパールの Gorkha International Public Secondary School との協働学習において、「SDG3:すべての人に健康と福祉を」「SDG8:働きがいも経済成長も」をテーマに、それぞれの国で起きている問題が何か、その原因とそれが及ぼす影響は何かについて調べ、自分たちはそれをどう解決するのか、どうしたら自分たちの未来をよくできるかについてしっかり意見交換ができていた。オンライン会議でそれぞれの意見を発表した後もさらに質問をして答え合うなど、学習の全過程で相手の意見に対して自分たちの考えを返す意見交換がしっかりできて学習が深まっていた。最後に壁画制作の場面でも話し合いを重ねることで双方の想いが一つになり、自分たちのメッセージをキャンバスいっぱいに表現できたところが素晴らしい。意見交換を重ねることで協働学習が深まっていく過程は他校の手本になる。
■壁画
【題名】自然を守る Protect Nature
<壁画に込めたメッセージ>
私たちは「SDG3:すべての人に健康と福祉を」と「SDG8:働きがいも経済成長も」について論点を5つに絞って課題と解決方法を話し合いました。
1.海洋汚染について
人間が環境を汚してしまったことに気づき、海を守りたい思いをもちました。
2.環境破壊について
人間が環境を破壊していることに気づき、日本の生徒は空気汚染に目を向けたのに対して、ネパールの生徒は森林破壊に注目しました。そして、地球上の全ての生物を守りたい思いをもちました。
3.食料問題について
日本の生徒は大量の食料を捨てていることについて注目し、ネパールの生徒は貧富の差による問題を考えていました。そして、食物を大切にするために環境を守る必要に気づきました。
4.差別について
日本の生徒は男女差別や偏見について考えましたが、ネパールの生徒は宗教の違いや偏見による差別を考えていました。そして、人々の偏った考え方が差別を生み出すことから教育が大切であるという考えをもちました。
5. 医療問題について
日本の生徒はコロナウイルス感染症に対する対応について考えたのに対して、ネパールの生徒は国民が平等に医療を受けることや公立病院の普及について考えていました。そして、人々が幸せに平等に暮らすために政府の対策が必要であると考えました。
オンラインミーティングで5つの課題についてそれぞれの考えを共有して、さらに話し合いました。ネパールの生徒は環境問題への日本の政府の取り組みや日本の医療について関心をもち、日本の生徒は今まで自分たちの関心が薄かった森林破壊問題や宗教による問題に関心をもつようになりました。
話し合いを経て自分たちに生まれた想いをどのように壁画に表すのかを考えました。日本の生徒は環境を守り、全ての生物が平等に生きていける世界を表したいと思い、ネパールの生徒は人間が壊してしまった自然と人間が環境を守り共存していく地球の姿を絵に表したいと思いました。
海に囲まれた日本は、下半分に、海をベースに海洋生物、生態系、生物多様性が環境に及ぼす重要な側面を描きました。一方、ヒマラヤ山脈があるネパールは、上半分に、雪を頂いた山脈に沿って森が遺伝子、種、生態系の多様性を維持する上でいかに重要であるかと陸生生物が環境や自然の貴重な資産となっている側面を描きました。
さらに、左半分には人間によって壊されてしまった環境を描き、右半分には人間が知恵を働かせて環境を守り、全ての生物が幸せに暮らす世界を描きました。
私たちが壁画に込めたメッセージ:
わたし達の知恵で、地球上の全ての生物と資源を守ることができる未来を創っていきたい