9月11日に同志社大学で開催されたユネスコASPnet70周年記念事業のオープニングで、千玄室大宗匠が世界から京都に集まったユースに向けてスピーチをされました。

100歳になられた今もユネスコ親善大使としてニューヨーク国連本部、パリユネスコ本部に飛んで活動をされている大宗匠がユースに語りかけたのは、「平和という言葉を使わなくてもよい世界をあなた達が創るのです」ということでした。ユース達に向かって身を乗り出して、時に大きな身振りで、時に英語を交えて語った気迫溢れる言葉は、どの国のユースの心にも響いたことは間違いありません。体が震える感動的なスピーチでした。

【千玄室代宗匠のスピーチの一部】

どんな仲が良い友だちとでも時には衝突するでしょう。
教室でも、社会でも、どんなところでも人は衝突するでしょう。
だから国と国も衝突するのです。
人と人の衝突も、国と国の衝突も一緒です。
それが戦争になるのです。
どうしたら衝突しないか、考えてみてください。

私はお茶を点てます。
お茶碗は丸いでしょう。丸いお茶碗は「地球」です。
その中に点てられたお茶は緑でしょう。お茶のグリーンは自然です。
丸いお茶碗に入ったお茶は、地球の中の自然なのです。
それに感謝していただいてください。
自然に対して、命に対して、心から感謝する気持ちを持ってください。

私は大学生の時、学徒出陣で招集されて海軍に配属になりました。
多くの仲間達が特攻隊で飛行機ごと敵地に突っ込んでいきました。
多くの戦友は「おかあさ~ん」と叫んで散っていきました。

ある時、出撃命令を受けた仲間達に最後のお茶を点てました。
仲間の1人が「千よ、帰ってきたら、もう一度お前のお茶を飲ましてくれ」と言った言葉が忘れられない。あの時「もう帰って来れない」ことがはっきり分かったのです。

「平和な世界にしよう!」と世界平和を声だかに言っている人がいるでしょう。
平和、平和と叫んで平和になりますか?
私は「平和」という言葉を使うのは嫌なのです。
戦争があるから「平和」という言葉を使う。
無残な戦争がこの世に無かったら「平和」という言葉は使わなくてよい。
「平和」という言葉を使わなくてもいい世の中にしていかなければならないのです。


スピーチを聞いたユースは、「心が震えた!」「100歳でいらっしゃるのですよね。行動力とエネルギーが信じられない。」「私の一生の宝になる」と高揚した様子で口々に言っていました。

※【無断転用禁止】 本記事は千玄室様の許可を得て掲載しています。